中小企業向け DXの3ステップ入門

「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を耳にしても、具体的に何をすればよいのか分からない——そう感じている中小企業の経営者や個人事業主は少なくありません。特に、経理や労務、書類管理といったバックオフィス業務におけるDXは、「大企業の話」として敬遠されがちです。しかし実際には、小規模な組織こそ効果が出やすく、導入のハードルもそれほど高くありません。本記事では、中小企業でも実践可能なバックオフィスDXの基本ステップを、実例を交えて分かりやすく解説します。


バックオフィスDXが注目される背景とは

近年、DXの波は営業やマーケティングの領域にとどまらず、経理・労務・庶務といった「バックオフィス」にも及んでいます。こうした動きの背景には、中小企業が直面する共通の課題があります。

人手不足とリモートワークの常態化

従業員数が限られる企業では、1人が複数の業務を抱えるケースが一般的です。さらに、リモートワークが浸透する中で、紙ベースや対面を前提とした業務フローでは対応しきれない場面も増えています。

業務の属人化・アナログ依存の限界

「その人にしか分からない」「あのファイルはあの人のPCにしかない」といった状況は、業務停滞や引き継ぎの混乱を招きます。紙の帳票や手書きメモ中心の運用では、業務の再現性も低くなりがちです。

小規模こそ「仕組み化」の効果が出やすい

一方で、小さな会社だからこそ、変化への対応も早く、社内の意思決定も柔軟に行えます。全員で一斉に新しい仕組みに移行できる可能性が高く、DXによる効果が出やすいのも中小企業ならではの強みです。


DXの第一歩は「業務の見える化」から

DXというと、いきなり高機能なツールやシステムを導入するイメージを持たれがちですが、最初に取り組むべきは「業務の見える化」です。現場で何が行われているのか、どこにムダや非効率があるのかを把握しなければ、適切な改善策は選べません。

バックオフィスの典型業務を書き出す

まずは、日常的に発生しているバックオフィス業務を棚卸ししましょう。たとえば、経理(請求書処理、領収書の管理)、労務(勤怠集計、給与計算)、事務(郵送対応、書類作成)など、ルーティン業務を中心に列挙するのがポイントです。

時間がかかっている・属人化している業務を探す

次に、それぞれの業務にかかっている時間や、特定の担当者でないと対応できない業務を洗い出します。属人化した作業や、明らかに手間がかかっているプロセスは、改善の優先順位が高いポイントです。

「なくせる業務」「効率化できる業務」を分類する

業務を見える化したら、「その業務は本当に必要か?」「ツールで代替できないか?」と問い直してみましょう。たとえば、紙の勤怠表や手動での支払予定表作成などは、クラウドツールで簡単に代替可能なケースも多くあります。業務を残す・やめる・効率化するという3つの観点で、今後の方向性を整理していくことが、DX成功の第一歩となります。


ツール導入は「小さく始めて習慣化」が鍵

バックオフィスDXの実践において、ツール選びは重要なステップです。ただし、最初から多機能で複雑なシステムを導入するのはおすすめできません。中小企業にとって重要なのは、「継続できる仕組み」を無理なく始めることです。

無料・低コストから始められるツールを活用

現在は、無料または月額数百円〜数千円で使えるクラウド型の業務支援ツールが豊富にあります。たとえば、会計ソフトの「freee」や「マネーフォワード クラウド」、請求書発行なら「Misoca」や「マネーフォワード請求書」など、スモールスタートに適した選択肢が揃っています。

1業務1ツールでシンプルに導入

多機能なオールインワン型を選ぶよりも、最初は「1つの業務を1つのツールで効率化する」方が運用しやすくなります。たとえば、請求書の発行だけを効率化したいなら「Misoca」などに特化しても良いでしょう。スモールステップでの成功体験が、次の改善への意欲につながります。

属人化を防ぐマニュアルとルールの整備

ツールを導入しただけではDXとは言えません。操作手順やルールが担当者ごとに異なれば、結局また属人化が発生します。操作マニュアルの作成や、業務フローの共通化など、「ツールをチームで使いこなす」ための整備が必要不可欠です。


チーム外部化という選択肢も視野に

DXというと「ツール導入=内製化」が前提に思われがちですが、バックオフィス業務を外部と連携して構築することも有効な手段です。特に小規模な組織では、すべてを自社内でまかなうより、専門性を持つ外部の力を借りることで、スピーディーかつ効率的に業務改革が進むケースがあります。

社内にリソースがなくても運用を始められる

経理や総務などの担当者が不在、あるいは経営者自身が対応している場合、クラウドツールを導入しても運用が回らないケースがあります。そうしたとき、オンライン秘書・事務代行などの外部チームに委託することで、ツールの初期設定や運用も含めて一括で任せられる体制が作れます。

変化に強い体制づくりに役立つ

外部パートナーと連携することで、「誰かが休んだら止まる」「引き継ぎができない」といった属人化リスクが減ります。チーム制の事務代行を活用すれば、ある程度のリソース調整が可能となり、業務の安定性も向上します。

AIやクラウドを活用できる外部チームの活用も

最近では、ChatGPTなどのAIツールやクラウドサービスを使いこなせる事務代行も増えてきました。こうしたパートナーと組むことで、単なる作業代行にとどまらず、DX推進における「伴走者」としての役割も期待できます。


まとめ:DXは一歩ずつ、継続できる形で

DXという言葉には少し構えてしまう方も多いかもしれませんが、実際には「紙をやめる」「人の手を減らす」など、小さな見直しの積み重ねこそが、業務デジタル化の本質です。特に中小企業では、少人数でも意思決定が早く、柔軟に取り組めるという強みがあります。

まずは、業務の棚卸しから始めて、負担が大きい部分にピンポイントでツールを導入する。使いやすさを重視し、定着する仕組みを整える。社内だけで手が回らない部分は、外部チームと連携して体制を作っていく——そうした「続けられる改善」の積み重ねが、結果として大きな業務改革につながっていきます。

今はまだ手作業や紙中心の環境でも、できることから変えていけば、数ヶ月後には「業務がラクになった」「時間に余裕ができた」と実感できるはずです。中小企業だからこそ実現できる、等身大のDXを、ぜひ今日から始めてみてください。

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